免疫低下の落とし穴

コロナ禍をきっかけに免疫に対する世間の意識が高まりました。しかし、一言に免疫、と言ってもこれさえ食べてればいい、よく寝ればいい、と単純なものではありません。
普段見落とされがちだけど免疫低下につながる可能性のある事柄も含めて、こちらのコラムでは解説しています。

 

免疫応答への潜在的な障壁

  • 免疫システムの健康は、食事、腸内細菌、睡眠、ストレスなど、さまざまな要因に影響を受けます。
  • 健康の不平等(経済的な問題やアクセスの制限など)が、免疫の回復力や全体的な健康に影響を与えることはあまり広まっていいないのが現状です。
  • 社会的・環境的要因を理解することで、個別の治療計画を作成し、患者の免疫力を高める支援が可能となります。

 

社会・環境的要因と免疫システムの関係

  • 低い社会経済的地位*(SES)で育った人は、成人後に炎症が高まり、心血管代謝疾患のリスクが増加することが研究で示されています。
  • 環境や社会的要因(健康的な食事へのアクセス、汚染物質への曝露、慢性的な心理的ストレス)が免疫システムの反応に影響を与えます。
低い社会経済的地位、表現されていますがわかりやすくいうと、不潔な環境、大気汚染や農薬などに暴露されている状態、栄養不足の食生活、虐待など心理的ストレスが強い状態が挙げられます。これらは社会的地位が低くなくても起こりうる状態です。

 

 栄養と腸内環境

  • 健康で多様な食事への安定したアクセスが、免疫システムの健康に不可欠です。
  • 食料不安があると、炎症を抑える栄養素(ビタミンA、C、E、βカロテン、マグネシウムなど)の摂取が低下し、免疫反応が弱まる可能性があります。
  • 腸内細菌とのコミュニケーションが免疫の調整に重要であり、食事が腸内環境に影響を与えます。

 

汚染物質への曝露

  • 大気汚染物質や有害化学物質(重金属、農薬など)への慢性的な曝露は、免疫バランスを崩し、炎症や免疫不全を引き起こす可能性があります。
  • 低所得コミュニティや特定の人種は、特に汚染物質にさらされやすい環境下にあります。
  • 大気汚染は炎症性サイトカインの放出を促進し、免疫反応を悪化させることが示されています。
汚染物質への曝露はあらゆるシーンで存在します。普段から綺麗な空気の空間に身を置くことを心がけ、地下や大勢の人の集まる場、カビが生えやすい湿気の多い場所などではマスクをする、など身を守る事が大切です。

 

慢性ストレス

  • 慢性的なストレス*(社会的、環境的要因)は、精神的・身体的健康に悪影響を与え、免疫機能を抑制することがあります。
  • ストレスが免疫反応に与える影響を軽減するため、心理的介入(ストレス管理、リラクゼーション、マインドフルネスなど)が有効とされます。
ストレスも慢性的になってしまうと慣れてしまいなんとかやり過ごすこともできるのですが、そこに落とし穴が。。意識的に、リラックスできてるかな?と自分と向き合うことでストレス環境にいることを自覚して対処できるようになります。頑張り屋さんほど要注意。

 

まとめ

  • 免疫機能は、食事やストレス、汚染物質など、多くの要因から影響を受けます。
  • 健康格差や社会的要因が、患者の免疫回復力に影響を与えるため、個別化された介入が重要です。
  • 患者の状況やアクセスの障壁を理解し、現実的に調整可能なライフスタイルの改善策を提示することが必要です。
  • 免疫機能の改善を目指す際の栄養、ストレス管理、環境的要因の重要性が理解しやすくなります。

用語説明

*低い社会経済的地位(SES: Socioeconomic Status):収入や教育水準、職業などが低い状態を指し、健康格差や慢性疾患リスクの増加、精神的ストレスの蓄積など、生活の質や健康に悪影響を及ぼすことが多いとされてい流。

*慢性的なストレスは、長期間にわたり心身に負荷がかかり続ける状態で、ホルモンバランスの乱れ、免疫力の低下、心血管疾患やうつ病などのリスクを高める原因となる。

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