片頭痛とヒスタミン 片頭痛とヒスタミンの関係 片頭痛は、6000年前から人類に知られており、今日では世界で3番目に一般的な病気で、2番目に多い障害の原因となっています。片頭痛は脳血管系の疾患で、脳神経の炎症や肥満細胞*の活性化が重要な役割を果たしています。肥満細胞はヒスタミンを放出し、これが炎症を引き起こし、片頭痛の引き金となることがあります。 ヒスタミンの脳神経系での役割 ヒスタミンとは、アレルギー反応や免疫応答の際に肥満細胞や好塩基球から放出される化学物質で、血管拡張や気道の収縮、かゆみ、腫れなどの症状を引き起こします。脳の中枢神経系では特に覚醒状態や注意力の維持に寄与しています。ヒスタミンは覚醒促進物質として機能し、睡眠と覚醒のリズムを調整、維持します。研究によれば、片頭痛患者は血中のヒスタミン濃度が高く、ヒスタミンに対する感受性が高いため、食事などの外的ヒスタミントリガーに敏感です。 ヒスタミン食物トリガーと臨床的考察 ヒスタミン不耐症は、腸の酵素であるジアミンオキシダーゼ(DAO)が十分に働かないことで、食事由来のヒスタミンを分解できないことから起こります。これが片頭痛を引き起こす可能性があり、低ヒスタミン食が片頭痛の管理に有効とされています。ヒスタミンを多く含む食品や飲料は、チーズ、魚介類、肉類、ナッツ、特定の野菜、果物、飲み物などが含まれます。 原因不明の片頭痛が続く場合は食事の見直しが有効であることも。ヒスタミンを多く含む食品を食べていないか、見直してみるのも一つの手ですね。体にいいと言われている食品が実は片頭痛の原因だった、なんてことも。。NUTRITIONに載せている低ヒスタミン食材の資料もぜひ参考にしてみてくださいね。 低ヒスタミン食の効果 低ヒスタミン食は、片頭痛患者の症状緩和に有効であることが示されています。いくつかの小規模な臨床研究では、症状の改善やヒスタミン不耐症による症状の完全な寛解が報告されています。 ヒスタミンを多く含む食材
カテゴリ 食品例 乳製品 チーズ(ゴーダ、チェダー、ブルーチーズ、スイスチーズなど) 発酵魚 ニシン、スモークサバ、缶詰のイワシ、ツナ、アンチョビ 加工肉・保存肉 ソーセージ、ハム、サラミ、燻製肉(スモーク肉) 海産物 魚介類(缶詰、発酵、燻製されたもの) その他のタンパク質 卵白、タマリ(大豆調味料)、テンペ、味噌 ナッツ アーモンド、カシューナッツ、クルミなど全種類 脂肪・オイル アボカド、ココナッツ、ナッツオイル(アーモンドオイル、ヘーゼルナッツオイルなど) 野菜 ナス科の野菜(例: トマト、ナス)、ほうれん草、ザワークラウト 果物 柑橘類(オレンジ、レモン、ライム)、パパイヤ、イチゴ、パイナップル、バナナ 飲み物 コーヒー、お茶(特に紅茶)、ビール、赤ワイン その他 チョコレート、リコリス(甘草) これらの食品は、特に保存期間が長い、発酵している、あるいは調理後に保存された食品では、ヒスタミンのレベルがさらに高くなる傾向があります。 低ヒスタミン食と片頭痛 低ヒスタミン食の効果に関して、片頭痛に対する医療文献での合意はまだ得られていませんが、小規模な研究では有望な結果が出ています。片頭痛患者において、ヒスタミン不耐症やジアミンオキシダーゼ*(DAO)欠乏症が原因となることがあり、低ヒスタミン食が有効である可能性があります。 小規模臨床試験の結果 28人の慢性頭痛患者を対象とした4週間の低ヒスタミン食介入により、68%が頭痛の改善を報告。 DAO欠乏症の患者では、低ヒスタミン食を実施した後、約90%の患者で頭痛の頻度が減少または症状が寛解。 低ヒスタミン食の推奨 低ヒスタミン食は、ヒスタミン不耐症(HIT)患者に対する標準的な治療法と考えられ、片頭痛の管理にも有効である可能性があります。 まとめ 低ヒスタミン食が片頭痛やヒスタミン不耐症の症状を軽減する可能性があるということが、複数の小規模な臨床試験で示されています。ただし、まだ大規模な研究が不足しているため、さらなる研究が必要です。 用語説明 *肥満細胞(マスト細胞):免疫系の一部を構成する細胞で、アレルギー反応や炎症反応に関与し、ヒスタミンやサイトカインなどの化学物質を放出して免疫応答を引き起こす。 *ジアミンオキシダーゼ(DAO: Diamine Oxidase):主に腸や腎臓で作られる酵素で、ヒスタミンを分解する役割を担い、食事や体内で生成された過剰なヒスタミンを代謝して、アレルギーや不耐症による症状を抑える働きを持つ。 関連記事 薬に頼らないアレルギー対策:6Rプロトコルで根本からサポート 小児の腸内環境が健康に与える影響 アトピー性皮膚炎への対策 腸と肌のつながり:健康な腸内環境がもたらす美容効果 参考文献 Maintz, L., & Novak, N. (2007). "Histamine and histamine intolerance." The American Journal of Clinical Nutrition, 85(5), 1185-1196. この論文は、ヒスタミン不耐症とその原因となるヒスタミンの代謝障害に焦点を当て、特定の食品のヒスタミン含有量についても詳しく述べています。 Comas-Basté, O., Latorre-Moratalla, M. L., Sánchez-Pérez, S., Veciana-Nogués, M. T., & Vidal-Carou, M. C. (2017). "Histamine and other biogenic amines in food. From scombroid poisoning to histamine intolerance." Biogenic Amines in Food: Histamine and Other Biogenic Amines, Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety, 16(5), 1061-1079. このレビューは、さまざまな食品に含まれるヒスタミンのレベルと、食品の加工や保存によるヒスタミン濃度の変化に焦点を当てています。 García-Martín, E., Ayuso, P., Martínez, C., Agúndez, J. A., & Blanca, M. (2015). "Histamine intolerance and diamine oxidase (DAO) deficiency." Allergy, 70(5), 538-544. この論文では、ヒスタミン不耐症の原因とそれに関連する酵素(DAO)の不足について詳しく説明しています。食品中のヒスタミン含有量に関する情報も提供されています。 Pinzer, T. C., Tietz, E., Waldmann, E., Schink, M., Neurath, M. F., Zopf, Y., & Förstermann, U. (2018). "Low-histamine diet is effective in reducing histamine intolerance symptoms." World Journal of Gastroenterology, 24(27), 2859-2866. 低ヒスタミン食がヒスタミン不耐症の症状を軽減する効果について述べた研究で、特定の食品がヒスタミン不耐症にどのように影響するかを検証しています。