重金属を避けよう!魚生活見直しのすすめ

              

 

世界中で5000万人以上が認知症に苦しんでおり、この数は2050年までに1億5200万人に達すると予測されています。アルツハイマー病(AD)の発症は、環境要因に部分的に起因し、認知、学習能力、記憶機能、実行機能における進行性の障害を特徴とします。重金属、特に鉛、カドミウム、マンガンは、神経細胞の酸化ストレス、炎症、アポトーシスを増加させることでADの病態に寄与する可能性があります。

 

鉛(Lead)

鉛は神経毒として知られ、血液脳関門を迅速に通過し、神経炎症、酸化ストレス、細胞内ストレス、アポトーシスを引き起こします。人間の疫学研究では、鉛への曝露が神経変性に関連しており、ADの特徴であるアミロイドβの蓄積、タウ病理、炎症に関与していることが報告されています。鉛の主な曝露源は地域によって異なりますが、世界的には電子廃棄物のリサイクル、鉛鉱山、精錬などが主な要因です。

  • 鉛(Lead)を含む可能性のある食品
  1. 魚介類:特に大型の魚(例:マグロ、サメ、キングマッケレル)は鉛を含む可能性が高いです。魚は汚染された水域で生息するため、鉛や他の重金属を蓄積することがあります。
  2. 野菜:汚染された土壌で育てられた野菜(特に根菜類)は鉛を吸収しやすいです。例として、にんじんやじゃがいもなどが挙げられます。
  3. 輸入された缶詰食品:鉛が含まれている場合がある旧式の缶詰が使用されることがあります。特に、輸入食品に注意が必要です。

カドミウム(Cadmium)

カドミウムは最近、神経毒として注目されています。主な曝露源は食事やタバコの喫煙です。鉛と同様に、カドミウムも血液脳関門を通過し、酸化ストレス、神経炎症、アポトーシスを誘発します。2023年の系統的レビューによれば、高齢者の認知能力は血中や尿中のカドミウム濃度が高いほど低下することが報告されています。さらに、メタ分析では、AD患者においてカドミウムの循環濃度が対照群に比べて有意に高いことが確認されています。

  • カドミウム(Cadmium)を含む可能性のある食品
  1. 葉野菜ほうれん草レタスなどの葉物野菜はカドミウムを吸収しやすく、特に汚染された土壌で栽培されている場合に濃度が高くなります。
  2. 穀類小麦は、カドミウムを吸収しやすく、特に工業地帯近くで栽培された場合に含有量が高くなることがあります。
  3. 貝類牡蠣ムール貝などの貝類も、海水のカドミウム汚染によって高濃度のカドミウムを含むことがあります。

 

マンガン(Manganese)

マンガンは人間の健康に不可欠な要素ですが、過剰摂取は神経毒性を引き起こします。マンガンは神経細胞に蓄積され、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、アポトーシスなどを誘発します。職業的な曝露を受けた人々は、認知速度や注意、記憶などに欠陥が報告されています。

  • マンガン(Manganese)を多く含む食品
  1. ナッツ類:特にクルミアーモンドはマンガンが豊富です。これらは栄養価が高く、一般的な食品です。
  2. 全粒穀物全粒小麦玄米はマンガンを多く含む食品の一例です。精製されていない穀物に特に多く含まれています。
  3. 豆類大豆レンズ豆は、マンガンが豊富に含まれている代表的な食品です。

これらの食品は日常生活で摂取する可能性が高いですが、重金属の含有量は環境汚染の影響を受けるため、摂取の頻度や食材の産地にも注意が必要です。

 

日本における土壌汚染

日本では、農地の汚染リスクが高い地域は、過去の工業活動や廃棄物処理、自然環境の影響などが原因で特定の場所に集中しています。日本における土壌汚染に関するデータベースや公的機関の情報源として、以下のものがあります。

  • 環境省
    日本の土壌汚染に関する情報は、環境省が提供する「土壌汚染対策法」や、汚染地域に関するリストなどから確認できます。特に、土壌汚染の実態調査や土壌汚染区域の指定情報が掲載されています。

  • 農林水産省
    農地に関連する土壌の安全性や汚染防止策についての情報は、農林水産省が提供しています。農業活動に関連する化学物質の使用や管理、土壌の状態に関する情報も入手可能です。

  • 都道府県の環境部門
    各都道府県の環境部門も、地域ごとの土壌汚染に関する情報を提供しています。例えば、東京都や神奈川県などの自治体のウェブサイトには、汚染調査や対策についての詳細が掲載されています。

  • 国立環境研究所
    国立環境研究所では、土壌汚染の調査や研究結果を公表しており、リスク評価や予防策に関するデータも提供しています。

これらのデータベースや公的機関の情報を活用することで、特定の地域が汚染されているかどうか、過去の調査結果や現在の対策状況を確認できます。

ここでは具体的な地域名はあげませんが、普段口にする食材がどこで作られたものなのか、は把握しておくと良いですね。私も農家さんから有機野菜は取り寄せ、お肉お魚もここ!てところでしか基本買わないようにはしています。
 

 

魚介類を摂取する際の重金属リスク

魚介類は栄養価が高く体に良いことばかりですが、魚の体内に水銀や鉛など重金属を蓄積してしまうという問題もあります。特に大型魚ほど多くの重金属を溜め込みます。ここでは主に問題になる水銀量の多い魚、少ない魚(安全性が高い)を多い順、少ない順にリストアップしました。

普段の食材選びの参考にしてみてください。

 

  • 水銀含有量の多い順
順位 魚種(日本語) 魚種(英語)
1 メカジキ Swordfish
2 キングサバ King mackerel
3 マグロ(特に大型種) Tuna (especially larger species)
4 カジキ Marlin
5 ミナミマグロ Southern bluefin tuna
6 メロ Chilean sea bass
7 キンメダイ Splendid alfonsino
8 オヒョウ Halibut
9 サメ(一部の種) Shark (some species)
10 カワカマス Northern pike
抗加齢医学を実践しているドクターはお寿司屋さんではトロは食べない、という方が多いです。私も昔はトロもカジキも大好きでしたがめっきり食さなくなりました。体内の水銀量は髪の毛、爪の検査で蓄積量を測定できます。一度蓄積する排泄はなかなか困難なので普段から体に入れないように心がけたいですね。

 

  •  水銀含有量の少ない順
順位 魚種(日本語) 魚種(英語)
1 イワシ Sardines
2 アンチョビ Anchovies
3 サバ Mackerel
4 サーモン Salmon
5 イカ Squid (calamari)
6 エビ Shrimp
7 タラ Cod
8 カキ Oyster
9 ホタテ Scallops
10 カニ Crab
11 カレイ Flounder
12 ニシン Herring

文献により多少異なるため、厳密な順序ではなく、おおよその目安となりますが、これらの魚は通常、妊婦や小児を含む多くの人々が適度に摂取しても安全とされています。また、魚の産地や大きさによっても水銀含有量が変わる可能性があるため、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。

 

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Reference
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    • Storelli, M. M., & Marcotrigiano, G. O.
  2. "Heavy Metals in Fish: Lead, Mercury and Cadmium in Marine Fish Fillets Sold in Italian Markets"

    • Licata, P., Trombetta, D., Cristani, M., et al.
  3. "Levels of Trace Elements in Fish and Shellfish Consumed in Spain"

    • Martí-Cid, R., Bocio, A., & Domingo, J. L.
  4. "Mercury and Lead Contamination of Seafood from the Gulf of California, Mexico"

    • Ruelas-Inzunza, J., Páez-Osuna, F., & Garcia-Flores, D.
  5. "Contamination by Heavy Metals in Marine Fish from the Atlantic Coast of Brazil"

    • Bergonzi, R., De Palma, G., & Apostoli, P.
  6. "Bioaccumulation of Heavy Metals in Fish Species and Health Risk Assessment in Chinese Wetlands"

    • Yi, Y., Yang, Z., & Zhang, S.
  7. "Evaluation of Heavy Metals and Risk Assessment in Commonly Consumed Fish from U.S. Markets"

    • Koirala, R., Dhakal, R., & Otieno, W.
  8. "Pollutants in Marine Fish and Shellfish: Heavy Metal Levels and Health Risks in South Korean Waters"

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    • Agusa, T., Kunito, T., & Tanabe, S.
  10. "Lead and Other Metals in Fish: Human Health Risk in the North-East Atlantic"

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